鍵人対談 三菱ふそうトラック・バス株式会社 販売統括部 トラック販売部 菊池直樹

トラック業界”鍵人”訪問記 ~共に走ってみませんか?~ 第9回

三菱ふそうトラック・バス株式会社 販売統括部 トラック販売部 菊池直樹 様

三菱ふそうトラック・バス株式会社 販売統括部 トラック販売部 菊池直樹 様

「新型スーパーグレートは激動の21年間を刻み込んだ“攻めの1手”」

21年ぶりとなるモデルチェンジを果たした新型スーパーグレート。一新されたスタイル、エンジンラインナップとともに、ダイムラーとの協業による欧州基準の新機能が充実しています。第9回目となる今回は三菱ふそうトラック・バス株式会社販売統括部の菊池直樹様にご登場いただき、新型スーパーグレートのモデルチェンジの核心について伺ってきました。15年前から進められていたモデルチェンジへの布石、そして根本的なトラック製造哲学の変更。そこにはこの21年間の三菱ふそう、激動の歴史が刻みこまれていました。再び攻めの姿勢で企画された新型スーパーグレートは、何を物語り、運送業界をどう変えていくのでしょうか。

写真・ハラダケイコ
デザイン・大島宏之
編集・青木雄介

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15年前から市場調査をすすめていた新型スーパーグレート

©MFTBC

____新型スーパーグレートを見て中西社長はどんな感想をもちましたか?

中西:今年は三菱ふそうさん以外にも新型車種を投入してきていて、トラック業界が活気ある年だと思います。その中で新型スーパーグレートが一番インパクトがあるような印象を受けました。理由はデザインもあるんですが、 中身の機能がかなり乗用車に近くなってきた印象があるからでしょうか。

菊池:有難うございます。今回は21年ぶりのフルモデルチェンジとなりましたが、これまでの車作りはどちらかというとメーカー主導で、出来上がった車を「使ってください」とお客さんに販売する形でした。けれども今回は、トップマネジメントで「お客様の声を反映させて頂こう」としまして、頂いた意見をもとに商品コンセプトを決めていったのが新型スーパーグレートになります。この新型スーパーグレートは約15年前ぐらいから、市場調査を行いながらダイムラーとの協業体制において、彼らの持っている大型トラックの開発技術を我々も取り入れられないか、試行錯誤しながら開発を進めてきました。安全性、経済性、快適装備性、昨今はドライバー不足が叫ばれていますので、ドライバーさんが運転しやすい環境を考えました。

新型スーパーグレートがこだわった安全性能とは

____ご説明をいただけますでしょうか。

菊池:はい。一番力を入れましたのは安全性能になります。 現在ですと乗用車には当たり前についてくる衝突被害軽減ブレーキをはじめとして、今回、特に目玉になっているのは左折時の巻き込み事故を防止するアクティブ・サイトガード・アシストです。左折時の巻き込み事故がトラックの死亡事故の約3割を占めているということで、その事故を最大限に抑えることが我々の使命と考えました。経済性能に関しますとエンジン本体の燃費改善は他のメーカーさんも取り組まれていらっしゃいますが、我々が特に注力したのはボディメーカーのパブコさんとの協業です。 ボディ含めてサイドスカートを付けたり、後方の空気抵抗を軽減したり、先代にくらべてトータル15パーセントぐらいの燃費軽減に成功しました。

____エンジンに関して、今回は大幅にダウンサイズしましたね。

菊池:バリエーションとしては10.7リッターと7.7 リッターの2種類を用意しています。ダウンサイジングは乗用車でもトレンドではありますが、元々12.8 リッターあったエンジンをダウンサイジングしたのですが、もともと最大積載量は4メーカーのうち、かなり低い方だったんですね。エンジンの方で行くと10.7リッターで150キロぐらい、7.7リッターの方は600キロぐらいエンジンが軽くなりました。 7.7リッターエンジンの積載に関しましては5ランクから6ランクぐらい、積載の挽回が果たせされています。

積載の挽回と2種類のエンジン

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中西:600キロも挽回したんですね。

菊池:はい。さらにアルミホイール等を使えば800キロぐらいの積載挽回ができると見込んでいます。 ようやくそういう車ができましたので現在、お客様、荷主様にアピールしているということになります。

____主力は7.7リッターを考えてらっしゃるんでしょうか。

菊池:まだ主力とは言えません。他のメーカーさんでも8リッターはありますが、7.7 リッターというのはかなり低排気量の部類に入るエンジンといえるとおもいます。限定された機種に設計されていますので、市場としてはあまり大きくない市場です。ですから、我々としてもメインの市場と考えているのは10.7 リッターのエンジンになりますね。

____なるほど。やはり7.7リッターは主力とは考えていないんですね。

菊池:やはり積載効率を考えたいと言うお客様もいらっしゃいますので、そちらのお客様には7.7 リッターをお勧めしていきます。後は容積の決まっているもの。タンクなどの特装車は車重によって減トンできない領域に入ってきますので、そういったエンジンは7.7リッターのエンジンを使っていただいて、少しでもご要望にあった積載を実現していただきたいと考えています。

7.7リッターは限定的な使用想定

____馬力はともかく7.7リッターは1400ニュートン、10.7リッターは2000ニュートン出るので、たぶん人気としては10.7リッターかなと考えていたのですが。

菊池:去年6月頃から毎週末、我々の研究所の方で試乗会をやらせていただいておりました。のべ800名ぐらいのお客様に乗っていただいたのですが、そこで7.7リッターと10.7リッターを乗り比べていただきました。やはり比べられると力に差がありますので10.7 リッターの方が良いと言うお客様が圧倒的なのですが、 やはり積載効率で500キロぐらい変わってきますので7.7リッターを選択したいというお客様もいらっしゃいましたね。

____そうですね。扱う荷種次第という印象でした。

中西:私も先日試乗をさせていただきまして、荷物を積載してる状態だったんですね。それが7.7リッターだったんですが、街中しか走ってはいなかったものの正直、7.7 リッターだと非力だなと思いました。そう思ったんですが、運送業界は重量規制も厳しいし、定量の積載しか積まないのも常識となっているので、その点では昔よりは7.7 リッターも普及しやすい状況はあるのかなと思います。ドライバーとしては、馬力もトルクもあるにこしたことはないでしょうけれども。

菊池:おっしゃっていただいた通り、積む荷物も決まっている。運行経路も決まっている。そういうお客様であれば7.7リッターでも十分ご活用いただけるのかなと考えています。

業界初の左折巻き込み警報と全車AMT化について

中西:運転感覚は完全にオートマですし、乗用車感覚ですよね。 アクティブ・サイドガードの、ピラーのところに信号が出る機能はすごく良いなと思いました。

菊池:私も納車するタイミングで何台か立ち会わせていただいておりまして、左折時の巻き込み警報は、 それを注意して見ていなくとも、ちょっと気にかけることが出来る。その注意喚起を確実にできるので良い機能ですね、とお褒め頂きました。後は AMTのフィーリングが、かなり乗用車に近づいたシフトフィーリングになったこと。そこは高くご評価を頂いているところかなと思います。 私自身も乗ってみてシフトダウン、シフトアップが「かなりスムーズになったな」という印象があります。我々としては実はトラックの認可が出た時点で、試験データを収集する意味で実際に何台か納車させていただいておりました。導入いただいた、ある大手運送会社さんにお話をお聞きしたところ、実燃費も測っていただきましたらかなり改善されてると言う事でした。将来的に考えても AMT化はどんどん推し進められていくと思っていますし、最終的には自動運転に繋がっていく技術です。政府関係者のお話なんかを聞いていても、地方に住まわれているいわゆる交通弱者、ご年配の方で運転することもままならない様な方々、そういった方々のためにもどんどん自動運転化は進められていくという話でしたので、 AMTの性能と言うのは今後、自動運転の能力を 左右する技術かなと思います。

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自動発進、自動停止するプロキシミティー・コントロール・アシスト

____まさにその点において、今回目玉の機能となっているのがプロキシミティー・ コントロール・アシストですが、伝えられている噂によるとこの機能のために全車AMT化をはかったと聞いているのですが。

菊池:はい。ドライバーの疲労軽減でいえば、アクセルペダル、ブレーキペダルを踏まずに発信停止ができるこの機能についても、お客様の評判は非常に好評です。実際、停止して2秒間以内であればまた発進しますし、オートクルーズのボタンを押して頂くか、アクセルペダルを踏んで頂くことで2秒過ぎても自動的に走り出します。将来的に自動運転化が進んで行くと、 ステアリング操作にも介入していきたいと考えています。乗用車ではすでに実用化されているのですが、トラックの場合はステアリング力が非常に大きいものですから、それを制御する課題があるんですね。今後は基本的にアクセルペダル、ブレーキペダルを踏まないという方向になっていくんだと思います。幸いその点はダイムラーが先に進んでいますので、技術を共有しつつ共に進化していければと考えております。彼らは目下2025年までに自動運転を成立させるという目標があります。すでに市街地での自動運転の実験なども始まっていますので、そういう技術が共有できるのは我々、三菱ふそうの強みかなと思っています。

プロキシミティー・コントロール・アシストは何を変えるか

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____私が試乗したときは前車をなかなか認識してくれなくて、自動で発進停止というところまでいけなかったんですよね。高低差ゆえに認識できなかったという説明だったんですが、一般道で当たり前に使用するのはまだ先なのかな、という印象でした。

菊池:なるほど。そうですね。今後の課題としましては現状、前車をミリ波で認識しているのですが、この後はカメラによる認識も入ってきますので、精度は上がるだろうと考えます。ミリ波というのは、なかなか物体の形を認識するのに優れていません。どうしても乱反射などをしてしまうものですから。乗用車の形のパターン、人の歩き方など動きのパターン 。これを見極めて「移動対象物」と認識してブレーキをかける操作をしているのですが、より確実なのはカメラで物体を捉える認識方法になります。 それが実用化されると止まっている歩行者も認識できる様になるので、 スバルのアイサイトなどでやっているレベルの領域に入ってくると思います。それにより誤認識もだいぶ減るのではないかと思っています。

同時にドライバーを監視する機能の意味

____なるほど。わかりました。中西社長は実際に体験されてどうでした?

中西:市街地で利用していてもともとのスピードが遅かったので、急に止まるという感覚はなくてだらだらだらだらしていて止まって、すぐまた動いたので、 違和感はありませんでした。

菊池:私は最初に乗った時ものすごくむずむずしました(笑)。慣れてくるうちにこういうものだなと言うのはわかってきますのが最初はやはり緊張しますよね。

____基本的には高速道路やバイパスを想定した機能なんですよね?

中西:一般道の渋滞というよりは高速道路やバイパスの渋滞に有効だと思いましたね。止まるわけじゃないんだけど、だらだらだらだらと前に進んでいく様な渋滞ですね。

菊池:高速道路ですと合流が制限されているので、脇から入ってくるというケースがそんなにないと思うのですが、一般道だとどうしても頻繁に交差点が出現してしまいますので、我々の使用要件としては、 高速道路、バイパスが有用な使用要件になっております。逆に言うと操作が減る分、注意力が低下してしまうと言う懸念も指摘されているんですが、そこはドライバーモニターによって監視しています。

新型スーパーグレートの強力なセールスポイントとは

____ちなみに中西社長としては、今回販売する立場として新型スーパーグレートのセールスポイントはどこだと感じられましたか?

中西:やはり一番はプロミキシティー・コントロール・アシストです。あの機能が一番の売りの様な気がするんですよね。 ちょっと話がずれてしまうかもしれませんが、僕はボルボの乗用車に乗っていまして、それが同じ様な機能が付いているんです。ボルボだとセーフティパッケージの機能になります。それが例えば上限80km/h などで設定すると、渋滞時には自動的に止まり、前が動けば走り出します。日本の法規制だと思うんですが、若干でもハンドルに手を触れておかないと10秒ぐらいでアラームが鳴っちゃう。僕は毎月仕事で群馬に行くんですが、いつも日曜日に帰ってくるのでほぼ渋滞に巻き込まれてしまうんです。その時に、本当にその機能が楽なんですよね(笑)。これがトラックだったらなおさら楽に感じられるでしょうね。あれだけでも、全然ドライバーさんの疲労具合って変わると思うんですよ。

菊池:どうしても長い渋滞に巻き込まれていると反応が遅れてきたり、注意力が低下する現象が起こりがちなので、その点でもアシストは出来ると思います。その点でいうと今回、全車AMTにこだわった理由のひとつはそこにあると言えます。

もともとあったデザインの優位性

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中西:後は個人的な趣向になるかもしれませんが、デザインですよね。僕はすごく好きです。外装も内装も良かったですね。もともとスーパーグレートが好きだということもありますが。お客さんでもこれまでスーパーグレートのデザインが好き、というお客さんはすごく多かった様な気がします。

菊池:ありがとうございます。幸いにしてデザインが嫌だと言われる様なことは、これまで一度もなかった気がしますね。ドライバーの方に「乗りたい」と言ってもらえることが比較的多くて、だからこそ機能の面を充実させなければいけないというのが、これまでの三菱ふそうの課題でもありました。

____今回、デザイン面で見ると、もともと持ってたスーパーグレートの良さが引き継がれながら、グレードアップした様な印象がありますよね

中西:内装が黒を基調しているから尚更そう思うのかもしれませんが、ゴツゴツしているわけではなく、乗用車の様なスマートさも持っている。操作性も含めて洗練されているなと思いますね。

新型が出るまでの三菱ふそうの21年間とは

____このモデルチェンジに至るまでの21年間、三菱ふそう自体も大きく変わりましたよね。ダイムラーの資本が入ることによって、会社がまるごと変わる様な大きな変化が訪れたと思います。そこは良い面、悪い面、両方あると思うのですが。

菊池:はい。三菱ふそうは国内事業から撤退するのではないかというぐらい追い詰められた時期がありました。リーマンショックもありましたし、2009年には大幅に機種の削減も断行しました。これによってお客様の信頼を損ない、離れていってしまったお客さんも多数いらっしゃいました。片方でやはりふそうが好きだからと応援していただいていたお客様も多数いらっしゃいました。その時期は会社の存続と言う意味ではかなり厳しい時期でしたので、どうしてもコストを下げていかなければいけない中で、苦肉の策として機種の削減がありました。ただこの5年で機種もだいぶ復活してきましたし、私も社内にいながら、その変化を感じているところであります。新しいものづくりが出来てますし、今までは一方的な減少傾向でありましたけれども、工場も全く新しくなりましたし、塗装ブースも出来ましたし、電気トラック用の急速充電設備も新しく作りました。今はかなり投資も進んでいて、 最近はライトハウスと呼ばれる販売店舗の改装なども積極的に行っております。お客様の要望事項に対して車、設備も含めて転換できているのかなと思っております。

どん底から這い上がってきた三菱ふそう

____会社の状態としても、攻めの状態に移行できたと言うことですね。失礼な話かもしれませんが、三菱ふそうが一番国内シェアを持っていた頃は国内販売でどの程度のシェアを持っていたのでしょうか?

菊池:30%ちょっとだったと思います。そのまま高いマーケットシェアを確保できていたのですが、機種の削減とコストカットを行いましたので、お客様の心がだいぶ離れていってしまいました。ただ私はこの 会社に入りまして25年目ですが、そこからかなり変わってきたなと言うのは実感しているところです。

中西:それは傍から見ていてもわかりますよね。正直にいうと我々はメーカーの人たちとの関わりは薄いのですが、 中古車を販売していて、東京ふそう中古車部という部門と取引が多かったんです。そこにダイムラーの資本比率が大きくなっていくにつれて縮小していき結果、ほぼ解散という流れも見ております。その様子は、とにかく抑制につぐ抑制でありていに言えば「何もするな」でしたね。例えば下取りは良いけど、買い取りはダメとか。とにかくお金を出すことは一切やるなという状況に一時期、落ちていた。その時、本当にこのまま「ふそうはどうしちゃうんだろう」と心配になっておりました。我々の感覚で2002年のハブ脱輪事故以来、大型の販売が落ちたと言うイメージはなかったですね。ただ企業イメージのダメージは大きかった。弊社はレンタカー事業も行なっているのですが3割ぐらいふそうの車を入れていたにも関わらず、ふそう以外の車でと指定が来るぐらいだったんです。

菊池:その元々の根源は、我々の業務管理報告に関する失態がありましたので、イメージの損失は致し方ないところではありました。業績の悪かった頃は、抑制の方針で、私どももこのまま悪化が続けば心配しておりました。今では完全にダイムラーのアジア戦略の大切な基盤となりえている気がしますね。

____今回のスーパーグレートは海外でも販売されるのでしょうか。

菊池:はい。香港が第一弾です。 シンガポール、オーストラリア、ニュージーランドに導入予定です。 今回はだいぶコンポーネントなどが変更されていますので、早い時期にどんどんモデルを切り替えていく予定です。

通信する時代のトラックコネクトとは

____さて話を変えまして、今回の新型スーパーグレートは非常にコネクトビリティに優れている機能を満載していますね。

菊池:はい。大型トラックを所有されている個人または会社さんは、運行管理システムを独自でもたれていらっしゃいます。ただ複数台ないお客様と言うのは運行管理システムそれ自体を持たれていないお客様もいらっしゃいますので、私どもはトラックコネクトを商品として出させていただいて、無償で提供させて頂いております。それでお客様の承認を頂いた後に、燃費と現在地、 ウォーニングが出た際に、運行管理者さんのPCやスマートフォンにその内容をお知らせします。それに加えて故障診断ですね。それは販売店とも共有ができますので、お客様のウォーニングの状態を見て、 工場に入庫する前に故障の部位を予測できるということになります。

____なるほど。先進的ですね。

菊池:今までですと、車を入庫していただいて、 それを見させていただいて、判断させていただいてから部品を手配する、治具を手配するという手順を踏んでいたのですが、先にデータが飛んできますので、どういう部品や治具が必要かは入庫前にわかります。基本的にはそれによってお客さんの車を止めない、若しくは止めてる時間を極力短くしたい。今回のトラックコネククトという機能では、それが出来る様になっています。この機能自体は、今後、弊社で販売している車両全てに付けていきたいと考えています。それは一つは予防安全にもなりますので、ウォーニングが一回でも出てることによって、ブレーキオイルの液量がちょっと足りないのかな、とか事前に実際に車が止まってしまう前にお客様に修理を提案できるかなと思います。

GPSで地形を予測する低燃費技術とは

____それと今回 GPSで地形を読み取って、 低燃費運行に使用するパワートレイン3D予測制御も面白い機能ですよね。

菊池:我々は、もともと3 D のマップを持っていまして、それには日本の主要道路ほとんどのデータが入っています。道路の高低差を見ながら、80キロでオートクルーズを設定していて坂道を上っていく、今までは80キロまで一生懸命上げようと燃料噴射をしていたんですが、坂の頂上付近であればあとは下るだけなので、あんまり燃料を拭いてもしょうがないとAIが判断します。坂の頂上付近に近づくと80キロには持ち上げず、そのままの燃料噴射量で、下り坂に入っていく。後は坂道に入れば、クラッチを切ってほぼニュートラル状態にしたエコロールと言う状態で下っていきます。

____地形をGPSで読み取って運転支援に役立てるのはボルボもやってますよね?

中西:やっていますが、現状ヨーロッパだけですね。ただ今度、導入するという話もあるんですけどね。

____なるほど。これも海外メーカーならではの発想ですよね。

菊池:そうですね。大陸を横断する様なスケール感と、距離であればこういった緻密な機能が低燃費に効いてくると思います。日本でも東京、九州間を走るとなれば、長大な距離になりますので、その中でこういった機能と言うのは低燃費においては有効かと思います。

収集されたビッグデータをどこまで開示するか

____コネクトビリティって将来的に重要な技術ですよね。

中西:私も今後、一番重要な技術だと思っています。

____でも、なかなか普通の運送会社だと導入が進まなかったりもする様な気がするのですが、どうなんでしょうか。

中西:このトラックコネクトはトラックを作っている会社の純正の仕組みなので、導入はまったく問題ないと思いますよ。後はそこから得られた情報をふそうさんがどれだけ開示するかにかかっていると思うんですよね。普通にスマートフォンで確認できる様な仕組みなので、たとえ爺ちゃん、父ちゃん、母ちゃんの3ちゃん経営の会社さんだとしても、導入に困難はないはずです(笑)。インターフェースはそんなに難しくないはずですよね。

菊池:現在の車と言うのはほとんどが電子化されていますので、燃料の噴射量、ブレーキの踏みしろ量、方向指示器の信号ですとか、急ブレーキを何回踏んだか、それにかかったGまで測れてしまう。そこは社長がおっしゃられたように、ふそうがどこまで開示するのかが重要になってきます。運送業者さんはどこも各自で安全運転講習を実施されていらっしゃいますので、それができるソフトもトラックコネクトの中には入っています。そんな風に車と直にデータのやり取りができて、あとはお客様の使い勝手を向上させていけば。社外の運行管理ソフトよりは良い商品になっていくのではないだろうかと思っています。

中西:はい。トラックコネクトは素晴らしい機能であると同時に、我々の様な整備工場も経営している会社には脅威ともなり得ます。故障の発見も修理もふそうさんの指定工場で完結してしまいますから。けれどもそこも含めて、今後は販売だけではなく、どれだけアフターメンテナンスを充実させられるかが、シェア確立のために重要になっていく用件の様な気がしますね。

菊池:大手運送会社さんでも、自社整備を取り入れられている会社さんは多いのですが、効率を求めていくと、それを外部に委託して同じ様な整備代でできれば、と委託を考えてらっしゃるお客さんも多くいらっしゃいます。そうなると我々の整備工場だけでは対応が出来なくなってくるので、協力店さんをどんどん増やしてご協力いただくことになるのかなと考えております。

菊池 直樹(きくち なおき)
1970年3月14日生まれ。1992年3月 湘南工科大学 機械工学科を卒業。1992年4月 三菱自動車エンジニアリング株式会社へ入社。2006年4月 三菱ふそうトラック・バス株式会社へ転籍。2016年8月 トラック販売部 新車施策担当へ配属ー現在に至る。

http://supergreat.jp/

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